2023年5月4日、Netflixで全世界に配信されたドラマ『サンクチュアリ-聖域-』。
大相撲という日本固有の題材であるにもかかわらず、ダントツ1位を記録した日本国内はもとより、50か国以上、公式グローバルランキングにおいてもTOP10入りする大ヒットドラマとなりました。
本記事では、同ドラマ全8話のあらすじを詳しくネタバレありでご紹介します。
Netflixで配信され世界中でヒットした大相撲ドラマ『サンクチュアリ-聖域-』
『サンクチュアリ-聖域-』は、2023年5月4日、Netflixにおいて全世界配信された大相撲のスポ根人間ドラマです。
初主演にして、主人公・猿桜こと小瀬清を演じたのは、格闘技の世界から個性派俳優へと転じた一ノ瀬ワタル。
広告業界で世界的に高い評価を得たのち、ドラマ・映画版の『めんたいぴりり』や『ガチ星』、映画『ザ・ファブル』などで才能をいかんなく発揮した江口カンがメガホンをとり、同じく『ガチ星』や『半分ノ世界』、ドラマ『半沢直樹』などで知られる金沢知樹が脚本を執筆しました。
力士を演じた俳優たちは、撮影に入る1年間より肉体改造や相撲の稽古を行ったという、並々ならぬ情熱の籠った作品です。
ロケ地については、別の記事にくわしくまとめてあります。
以下、全8話の各話あらすじをネタバレありで紹介したのち、結末について個人的考察をしたいと思います。
『サンクチュアリ-聖域-』全8話の詳細なあらすじ紹介【ネタバレ】
エピソード1
相撲部屋での稽古で、先輩力士のしごきに反抗的な態度隠さない小瀬清。稽古にとどまらず、兄弟子の猿河からは、便の始末など度を過ぎた嫌がらせもあり……。
福岡の北九州市門司で育った小瀬。借金から寿司屋を手放し、交通整理のアルバイトをしている父・浩二と、そんな父に愛想をつかして、借金と浮気三昧の母・早苗。不良の高校生となり果てた清は、母をかばい続ける父にいらつき、それでも柔道上がりの巨体を生かし、カツアゲなどして店を買い戻すためのお金を貯めていました。そんな清に目をつけ、スカウトしてきたのが猿将親方。大金が稼げるとの言葉を信じ、父親から渡されたなけなしの5000円を手に上京したのでした。
猿将部屋に、関東新聞の時津と、新しく相撲番となった部下の国嶋飛鳥が取材に訪れます。鼻持ちならない帰国子女で、政治部から左遷されてきた飛鳥は、虐待のような稽古をみて怒りを覚え、生意気な言動をして時津に叱られてしまいます。飛鳥は時津から、小結からケガで降格したものの、次の場所で十両返り咲きが期待される力士・猿谷のことを書けと言われ、しぶしぶ引き受けます。
一方、相撲協会では、理事長の熊田に対し、犬嶋親方、馬山親方が連勝記録を持つ龍貴の大関昇進、そして序の口で優勝した小瀬の下品なふるまいに対する解雇処分を求めていました。熊田は、厳重注意に留め、むしろ犬嶋親方の猿将親方に対する個人的な恨みを指摘するのでした。
親方から言われた甘い言葉と現実の違いに暴れまくる小瀬。我慢できなくなって部屋を去ろうとしたところを、才能があるのに逃げるなと止めたのが兄弟弟子の清水でした。清水はそのまま姿を消し、小瀬は気持ちを入れ替え稽古を始めます。
エピソード2
龍貴が大関に昇進し、記者会見が行われます。ライバルとして、連勝を続けている静内の名をあげ、やる気満々ぶりをアピールしてみせますが、心の奥では、父でもある元横綱の龍谷親方からの厳しい指導と強いプレッシャーに苦しんでいました。
四股の稽古を馬鹿にする小瀬は、猿谷にあっさり投げられてしまいます。公園で不貞腐れていると、ただ黙って桜の木を見上げている巨体の男がおり……力士の静内でした。
日本大相撲協会の師匠会が開かれますが、廊下で、犬嶋親方と猿桜親方がさりげなく衝突。現役時代、犬嶋が大関止まりだったのは、猿将に負けたことが原因だと恨んでいたのです。
一方、タニマチのお供で銀座のクラブに連れてこられた小瀬は、そこで同郷のホステス・七海と出会います。意気投合し、浅草でのデートを楽しむのでした。
そんなおり、父の浩二がひき逃げに遭い、意識不明の重体に……。小瀬が駆け付けますが、母の早苗から、入院費を相撲で稼いでこいと突き放されてしまいます。
東京に戻り、夜の公園で四股の稽古を続ける小瀬。それを見ていた静内は、前のお返しのように無言で缶コーヒーを差し出し……。一人、桜の木を見上げ続ける静内は、血だらけの母と弟らしき子どもを前に、ナイフを持ってたたずむ、少年時代の自分を思い出していました。
エピソード3
虎空部屋では、静内が稽古でも圧巻の強さを誇っていました。親方は、取材にきた時津と飛鳥を前に、あいつは化け物だと言い表します。
かたや、なんとしても猿谷に勝てない小瀬は、「お前は点だからだ」と言われてしまいます。
母親から父の入院費を無心された小瀬は、兄弟子・猿岳の裸動画を内緒でゲイのファンに売りさばき……。むしりとった50万円をATMで振り込もうとしたところ、七海から高級寿司に誘われ、そのお金を持って出かけてしまうのでした。
高級寿司を食べても、実家の寿司の方がうまかったと思う小瀬。帰り道、トルコ人の露店で財布をすられてしまいますが、実は本当に盗んだのは七海でした。
貯金からなんとか半分の25万を送金したものの、自分のふがいなさと父への申し訳なさから、そして猿谷に言われたことを思い出し、ひたすら四股を踏み続ける小瀬。その甲斐あって、ついに憎き猿河を倒すことに成功するのでした。
小瀬は、親方から「猿桜」という四股名を与えられ、序二段として五月場所の初日を迎えます。そこには、おかみさん・花のとりなしで、呼出として部屋に戻ってきた清水がいました。猿桜は、ふてぶてしい態度と下品な言動をみせながらも見事に白星をおさめます。しかし、同時に、三段目の静内の圧倒的な強さを見せつけられることに……。
その夜、猿桜の引退を迫るため、犬嶋親方と馬山親方が部屋にやってきます。
エピソード4
初日、龍貴も白星をおさめますが、父の龍谷親方は相変わらず厳しく、精神的においつめられます。
猿将部屋に猿桜の引退を迫りに来た犬嶋親方と馬山親方は、おかみさん・花の巧みなとりなしで、まんまと黙らされてしまいます。花は実は、熊田理事長の隠し子であり、そのコネをたてにしたある種の力を裏で持っているのでした。
親方にこっぴどく叱られ、反省したはずの猿桜ですが、審判の馬山親方の嫌がらせでブチギレ寸前。かろうじて白星をおさめ、その後も静内ともども連勝を続けます。一方、幕下から十両復帰を狙う猿谷は、なんとか勝ち越しを決めるものの、再び膝のケガを悪化させてしまいます。
迎えた13日目、犬嶋親方の指示により、審判の馬山親方は、猿桜の対戦相手である自身の部屋の力士にある指図をします。さんざんじらした挙句、対戦中に腕を折ること……。猿桜はギリギリのところで優勢にたち、最後は、審判の馬山に被さるように投げ飛ばして優勝。実は、悪だくみを事前に察していた猿将親方が秘策を授けていたのでした。
静内も1月場所からの連勝を維持し、見事三段目の優勝を飾ります。しかし、龍貴の祝いの言葉は冷たく拒絶し……。
優勝を遂げた猿桜が七海の店で飲んでいると、一人のチャラい男・村田が近づいてきます。お祝いと称し、猿桜はクラブで羽目を外して大騒ぎしてしまい、その様子がSNSで炎上するはめに……。実は、SNSで匿名のしつこい誹謗中傷の書き込みをしていたのは、兄弟子の猿空でした。かたや、村田は調子のいいこと言い、祝いの大金を渡しつつ、猿桜に投資話を持ち掛けます。
四か月後、静内の過去を探るフリーライターの安井が、静内の地元である北海道羅臼町を訪ねていました。2012年に起きた、母親と次男の遺体発見、長男が重要参考人として保護されたという記事の切り抜きを手に……。借金取り立てなどのひどい落書きがされた荒れ果てた実家、そして事件現場となった神社にも足を向けるのでした。
エピソード5
村田の豪華なマンションに招かれ、タニマチになろうかと提案される猿桜。調子に乗って大酒をくらいます。
同じころ、膝を痛めた猿谷が親方にひそかに引退を申し出ていました。それを盗み聞きしていた猿空。実は、猿谷に憧れる猿空は、猿谷が自分ではなくいい加減な猿桜の方を気に掛けることが許せず、そのため、SNSでそのうっぷんを晴らしていたのです。
次の九月場所、幕下取り組みを決める会議が行われますが、犬嶋親方の采配により、猿谷の対戦相手が静内に決まります。ところが稽古の際、猿桜は猿谷の膝をさらに悪化させることになってしまい、そのことでも猿空と激しく衝突するのでした。
医者の反対を押し切って土俵に立った猿谷は、最後の取り組みに気迫をみせながらも静内に黒星を喫します。責任を感じて落ち込んだ猿桜を、飛鳥は酒に誘い励ますのですが……。しかし、次の取り組みは、再び犬嶋親方の策略で、猿桜対静内に決定します。
部屋を出て歩いていた静内に、一人の男が声をかけてきます。北海道から戻ったフリーライターの安井でした。母と弟殺しの重要参考人となった過去をばらしてほしくなければ、猿桜に負けろと脅かされます。
そしてついに、猿桜と静内の取り組みの日を迎えます。
エピソード6
猿桜が大勝利を収めたと思ったのは幻で、実は耳たぶがちぎれるぐらい静内に激しく打ちのめされたのでした。病院に運ばれ、耳は縫合されたものの、静内は休場を発表します。
静内の休場により、連勝記録を守った龍谷部屋の龍貴に、安井が接近します。静内に八百長させるようメールを送ってきた匿名の人物は、龍貴ではないかと推測したためでしたが、龍貴は否定します。
一方、一人羅臼にやってきた静内は、荒れ果てた実家に踏み入り、昔を思い出します。泣きわめき、自分と弟にあたり散らした母……。事件現場の神社では、宮司が優しく出迎えてくれるのでした。
八百長の依頼者は、龍貴か龍谷親方のどちらかだったと睨み、ゴシップ誌にネタを売り込んだ安井。そんな安井に近づいてきたのは、龍谷部屋のタニマチである伊東でした。伊東は、メールを送ったのは自分だと白状し、それとなく安井の娘の安全を引き合いに出して記事の撤回を要求してきます。
ところが、その後、伊東が会っていたのは、龍谷部屋おかみさんの弥生。実は、裏で動いていたのは弥生で、色仕掛けされた伊東が、その身代わりとなって動いていただけでした。
犬嶋親方の企みで、馬山親方が、力士を引き連れて猿将部屋に出稽古にやってきます。まだ立ち直れず恐怖を引きずる猿桜はもとより全員、馬山部屋の力士たちにこっぴどくやられてしまい……。汚い取り口と暴言に、ついにキレた猿桜は、桶で力士を殴ってしまいます。
エピソード7
犬嶋親方は、猿桜の暴力沙汰を問題視し、解雇を要求。かたや、八百長の裏事情を知った龍谷親方は、妻の弥生を家から追い出します。猿桜は、どん底に落ちたばかりか、村田が七海をベッドで抱いているところを見てしまい……。
犬嶋親方は、飛鳥から解雇取り下げを直談判されたばかりか、突然、龍谷親方に呼ばれ、ある私的な事情を理由に、やはり解雇処分の撤回を求められます。それでも強気に出る犬嶋に対し、龍谷は、昔、横綱を狙う犬嶋のために星をあげた借りがあるはずだと詰め寄るのでした。龍谷の私的な事情とは、猿将部屋の花から動いてくれるよう頼まれていたのです。
結果、解雇処分は撤回。さらに、わざわざ上京してきた母の早苗が、早苗なりのやり方で猿桜の尻をたたいて励ますのでした。猿桜は、人が変わったように熱心に稽古に取り組みはじめます。その変化は、部屋の力士たちをも変えていくのでした。
その頃、羅臼にいる静内は、国彦の名だった昔を思い出していました。少年相撲で優勝した国彦のことを喜び、優しかった母。しかし、借金取りに追い詰められ、国彦の目の前で、弟を巻き込んで無理心中したのです。
1月、再び馬山部屋の力士たちが出稽古にやってきますが、猿将部屋のみなは前とは違い……。猿桜も、因縁の相手に見事な勝ちをおさめるのでした。
エピソード8
部屋の土俵で、引退する猿谷の断髪式が行われます。関係者、そして弟弟子に続き、最後に猿将親方が大銀杏にハサミを入れ、涙と感謝の中で労をねぎらうのでした。
土俵で一人四股を踏み続ける猿桜……、一方、時津に対し初めて感謝の言葉を口にする飛鳥……。
そして、1月場所が始まります。初日から、猿桜と静内が対戦することに。審判は犬嶋親方。2人の対戦を見守る者の中には、猿将親方、清水、龍貴、時津や飛鳥、観客席にかけつけた七海、門司では病室のテレビの前で母の早苗、そして父の浩二もまるでわかっているかのように微かに指を動かします。
土俵で向かい合った2人。静内は、相撲の勝ちを喜んでくれた母と弟の姿を、猿桜はいつも応援し続けてくれた父の姿を胸に、ついに四つにぶつかり合うのでした。
『サンクチュアリ-聖域-』の結末を考察、シーズン2は?
勝敗のわからない最終話の結末に、戸惑った視聴者の人も多かったようです。が、それをあえて描かなかったのは、ここに至るまでの2人の成長やプロセスこそに意味があり、勝ち負けはもうどうでもいいのだと言わんばかりのメッセージだと受け取りました。
あるいは、シーズン2への布石でしょうか?
シーズン2更新に関しては、まだ公式な発表はありませんが、多くのファンが待ち望んでいることは間違いありません。主演の一ノ瀬ワタル自身、インタビューなどでそれを望むような発言をしています。
それとは別に、この全8話を見終わっても、個人的には多くの未消化な要素があると感じています。
例えば:
●猿桜と飛鳥の関係、あるいは七海をはさんだ三角関係の行方
●猿桜に近づいてきた村田という男は、結局なんだったのか?投資を持ち掛け、その後、猿桜がもうかったと喜んでいる短いシーンがありましたが、その後の結末は? 投資詐欺だったというオチになるのかと思いきや、その展開もなく。
●おかみさんの花と龍谷親方の間にはどんな過去があったのか。
●タニマチの伊東と龍谷親方が新興宗教の信者だったというのは唐突な印象がありました。
●猿桜の父の浩二は、その後、生還したのか。
多くの謎があり、それは脚本の甘さというより、個人的にはシーズン2への伏線のように思えるのですが、いかがでしょうか?