地味な女性が綺麗に可愛く変身し、それまで馬鹿にしたり、虐めたりしてきた相手を見返す物語といえば、どんな映画を思い浮かべますか?
観終わった後、妙にすっきりとした爽快感があったりして、なかなかに不動の人気を誇るジャンルです。
本記事では、そんな洋画を中心に新旧12作品を選んでご紹介します。
- 女性が綺麗になって見返す映画、地味な女の子が可愛くなる映画
- おすすめの12作品を紹介!
- ①オードリー・ヘップバーンの代表作『マイ・フェア・レディ』(1964)
- ②ジュリア・ロバーツが娼婦を魅力的に演じた『プリティ・ウーマン』(1990)
- ③オリヴィア・ニュートン=ジョンとジョン・トラボルタが名コンビを組んだ『グリース』(1978)
- ④典型的なシンデレラもの『プリティ・プリンセス』(2001)
- ⑤サンドラ・ブロックが素敵すぎる『デンジャラス・ビューティー』(2001)
- ⑥日本漫画を韓国で映画化した『カンナさん大成功です!』(2006)
- ⑦アン・ハサウェイ主演の世界的大ヒット作『プラダを着た悪魔』(2006)
- ⑧数々の流行をうんだ『麗しのサブリナ』(1954)
- ⑨ドリュー・バリモアがキュートに演じた『25年目のキス』(1999)
- ⑩実話をもとにした『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』(2002)
- ⑪シェール主演の傑作ロマンチック・コメディ『月の輝く夜に』(1987)
- ⑫トニ・コレットの出世作『ミュリエルの結婚』(1994)
- 綺麗に、可愛く変身ではないけれど…
女性が綺麗になって見返す映画、地味な女の子が可愛くなる映画
そうしたストーリーの一番の元祖と言えば、やはり「シンデレラ」になるのでしょうか?
そこから、「シンデレラ・ストーリー」ともあるいは「みにくいアヒルの子もの」とも呼ばれる、女性が大変身を遂げる映画は、女性たちの心のツボに刺さるばかりか、男性が鑑賞してもじゅうぶん楽しめる秀作も少なくありません。
以下、12作品選んでみましたが、はからずも、オードリー・ヘップバーンとアン・ハサウェイが主演した作品がそれぞれ2作品ずつとなりました。ともに男女問わず高い人気を誇る女優であることが共通点かもしれません。
※このジャンルの映画と、深いつながりがあるともいえる「失恋を克服する」という切り口で選んだ映画についても、別の記事で21作品を紹介しています。あわせてご覧ください。
おすすめの12作品を紹介!
①オードリー・ヘップバーンの代表作『マイ・フェア・レディ』(1964)
地味な女性が綺麗に大変身する映画の元祖的作品と言えば、同名ブロードウェイ・ミュージカルを映画化した『マイ・フェア・レディ』でしょう。アカデミー賞では作品賞ほか8部門を独占し、ヒロインを演じたオードリー・ヘップバーンの代表作の一つとなりました。
ロンドンの街角で花を売り歩く、あまり育ちのよくない女性イライザが、言語学のヒギンズ教授の指導と猛特訓のすえ、見事な淑女となって社交界デビューを果たします。ところが、実はその裏にはある賭けがあり……。
メガホンをとったのは名匠ジョージ・キューカー、ヒギンズ教授にはレックス・ハリソンが扮しています。大変身もののひな型が本作によって出来上がったと言っても過言ではありません。
②ジュリア・ロバーツが娼婦を魅力的に演じた『プリティ・ウーマン』(1990)
美しく変身する映画というと、誰でもすぐに思い浮かべるであろう王道中の王道と言えば、『プリティ・ウーマン』でしょう。
リチャード・ギア扮する大金持ちのビジネスマンによって、見事に美しく大変身を遂げていく悪びれた娼婦ビビアンを演じたジュリア・ロバーツは、本作で一躍世界的大スターへと躍り出ました。
ロマンチック・コメディ映画の傑作としても知られる本作については、下記の記事で詳しく紹介しています。
③オリヴィア・ニュートン=ジョンとジョン・トラボルタが名コンビを組んだ『グリース』(1978)
2022年8月8日に惜しむらくも世を去ったオリヴィア・ニュートン=ジョンの代表作『グリース』も終盤の変身が大きな見どころの一つでした。
こちらは娼婦から淑女へと変身した『プリティ・ウーマン』とは言わば逆パターン。真面目でおとなしい優等生だったサンディが、不良グループのリーダーであるダニーに恋したことをきっかけに、ダニーが喜ぶクールな悪女へと大変身してみせます。
ダニーを演じたジョン・トラボルタとは亡くなるまで親しい友人であり続けました。
④典型的なシンデレラもの『プリティ・プリンセス』(2001)
内気で冴えない平凡な女子高生ミアが、実はヨーロッパの王国の王女であることを告げられます。ミアの前に現れた祖母クラリスの指導によって、プリンセスになるための教育を受けることに……。
『プリティ・プリンセス』はアン・ハサウェイの鮮烈な映画デビュー作であり、祖母を『サウンド・オブ・ミュージック』のジュリー・アンドリュースが演じました。2004年にはその後を描いた続編『プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング』も公開されています。
ともに監督がゲイリー・マーシャルであること以外なんの繋がりもなく、『プリティ・ウーマン』の二番煎じを狙った邦題だけはいただけません。原題は、メグ・キャボットの原作そのまま『プリンセス・ダイアリー』です。
⑤サンドラ・ブロックが素敵すぎる『デンジャラス・ビューティー』(2001)
野暮でガサツで男勝り、色気のかけらもないFBIの女性捜査官が、おとり捜査のためミスコンに潜入捜査することになります。伝説の美容コンサルタントの教育で、見事にミス・ニュージャージーへと磨き抜かれていく女刑事グレイシーをサンドラ・ブロックがコミカルかつ魅力的に演じました。
凄腕の美容コンサルタントのヴィクターには、名優マイケル・ケインが扮しています。
映画は世界中で大ヒットを記録し、2005年には続編の『デンジャラス・ビューティー2』が公開されました。
⑥日本漫画を韓国で映画化した『カンナさん大成功です!』(2006)
鈴木由美子の人気コミックを原作に、2006年、韓国で映画化し大ヒットを記録した『カンナさん大成功です!』。
美声と素晴らしい歌唱力を持ちながら、不細工の巨デブゆえ、ゴーストシンガーに甘んじていたカン・ハンナ。一人のイケメン音楽プロデューサーに恋をしてしまったことから、全身整形を施した別人の美女となって、彼の前に現れます。ところが…。
特殊メイクで熱演したキム・アジュンが一躍人気スターへと躍り出たほか、劇中使用された数々の楽曲も名曲揃いです。2009年には、山田優主演で日本版も製作されましたが、断然韓国版をおすすめします。
⑦アン・ハサウェイ主演の世界的大ヒット作『プラダを着た悪魔』(2006)
一流ファッション誌の強権的な女性編集長のアシスタントとなった、垢抜けないジャーナリスト志望のアンディ。ほとんどイジメにも近いパワハラを受けつつ、次第に中身も見た目も大きく成長していく姿を描いた世界的大ヒット映画です。
編集部の誰もが驚くほどのダサい女性だったアンディが、ハイブランドのファッションを颯爽と着こなすおしゃれ人間に変貌していく過程は爽快そのもの。アンディをアン・ハサウェイ、鬼編集長ミランダをメリル・ストリープが演じました。
ローレン・ワイズバーガーのベストセラー小説が原作です。
⑧数々の流行をうんだ『麗しのサブリナ』(1954)
『マイ・フェア・レディ』と並ぶオードリー・ヘップバーン主演の変身ものと言えば、『ローマの休日』の翌年に公開された『麗しのサブリナ』も忘れるわけにはいきません。
大富豪ー家のお抱え運転手の娘サブリナが、一家の次男を好きになりますが、しょせん身分違いの叶わぬ恋。父は、恋を忘れさせようと娘をパリに送り出します。2年後、サブリナは洗練された美しい淑女となって戻ってきます。
有名な「サブリナ・パンツ」や髪型の「サブリナ・カット」など数々の流行が本作から生まれました。サブリナと三角関係になる富豪兄弟を、ハンフリー・ボガートとウィリアム・ホールデンという二大スターが演じています。
⑨ドリュー・バリモアがキュートに演じた『25年目のキス』(1999)
新聞社で働く、彼氏いない歴25年の地味でオタクのコピー・エディターが、ひょんなきっかけから、高校生になりすまし、潜入ルポを担当することに……。いじめられっ子だったガリ勉の過去を繰り返すことになりますが、やがてそれを打ち破り、キュートな女性へと変貌していく姿を描いたロマンチック・コメディです。
ドリュー・バリモアが、ヒロインのジョジーをキュートに演じたばかりか、初プロデュースも手掛けて大ヒットに導き、製作側としても力量があることを示した最初の作品です。
姉ジョジーと一緒に潜入する弟のロブを演じたデイヴィッド・アークエットは、ロザンナおよびパトリシア・アークエットの実弟です。
⑩実話をもとにした『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』(2002)
30歳になっても恋愛経験のない、内気で冴えないギリシャ系アメリカ人のトゥーラ。両親が営むギリシャ料理店を手伝っていましたが、そこに現れた教師の男性イアンに一目ぼれしてしまいます。一発奮起し、人生を変えるための自分磨きを始めるのですが、ギリシャの伝統を守る家族とはひと悶着巻き起こり……。
ヒロインを演じたニア・ヴァルダロスが書いた自伝的一人芝居の映画化作品であり、芝居が気に入ったトム・ハンクス、リタ・ウィルソン夫妻が製作を手掛けました。低予算にも関わらず、異例の大ヒットを記録し、翌年にはテレビドラマ、また2016年には続編となる映画『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング2』も公開されました。
変身の落差は大きくありませんが、何より実話に基づき、本人が主演していることからくるリアリティ。ちなみに、実話の夫は俳優のイアン・ゴメスであり、本作に教師仲間として出演しています。残念ながら、2018年に離婚したようです。イアンを演じたジョン・コーベットは、『セックス・アンド・ザ・シティ』でキャリーの恋人エイダンを演じた俳優です。
⑪シェール主演の傑作ロマンチック・コメディ『月の輝く夜に』(1987)
アカデミー主演女優賞、助演女優賞、脚本賞の三冠に輝いたシェール主演のロマンチック・コメディの傑作が『月の輝く夜に』です。『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』がギリシャ系であるのに対し、こちらはイタリア系の物語です。
ニューヨークのイタリア人コミュニティを舞台に、シェール扮する未亡人ロレッタが、再婚予定のフィアンセの野蛮な弟に恋してしまったことから起こる騒動を、プッチーニのオペラと重ね合わせて描きます。
仕事にも人間関係にも疲れ果てた冴えないロレッタが、オペラを観劇するデートの待ち合わせ場所に見違えるような美女となって姿を現すシーンは、大きな見せ場の一つです。相手役のロニーをニコラス・ケイジが演じました。
⑫トニ・コレットの出世作『ミュリエルの結婚』(1994)
アバのヒット曲が重要なテーマとなっている映画というと、2008年の『マンマ・ミーア!』を思い浮かべる人も多いかと思いますが、それよりも先、1994年に公開された本作も、「ダンシング・クイーン」が非常に効果的に使用されたオーストラリア映画です。
不細工で太った女の子ミュリエルが、自分を馬鹿にしてきた周囲を見返すため、美しくなって誰もがうらやむ理想の結婚をしてみせる姿を描きます。
太ったミュリエルを演じるため体重を18キロ増量して挑んだトニ・コレットは、オーストラリア映画協会賞主演女優賞を受賞し、またゴールデングローブ賞でも主演女優賞にノミネートされるなど、出世作となりました。
綺麗に、可愛く変身ではないけれど…
以上、女性が綺麗になって見返す映画、地味な女の子が可愛くなる映画を12作品ご紹介しました。この中、あなたはいくつご覧になりましたか?
最後に、美しく変身というわけではなく、強くかっこよく変身する映画を2作品おすすめします。
ジーナ・ローランズが主演した1980年の映画『グロリア』は、中年女性がいたいけない少年を守るため、銃を持ってたった一人、凶悪なギャング集団に立ち向かう姿を描きます。1999年にはシャロン・ストーン主演でリメイクも製作されました。
また、シアーシャ・ローナンが主演した2011年の映画『ハンナ』では、16歳の愛らしい少女が、実はCIA工作員の父を持ち、そのことでサバイバルのための熾烈な戦闘に巻き込まれます。
別の意味の変身ですが、ある種の爽快さは共通しています。未見の方は、試しに視聴してみてはいかがでしょうか?