犬の登場する映画は、古今東西を問わず、根強い人気を誇ります。
何度もリメイクされている『ベンジー』や『名犬ラッシー』のシリーズ、『ペット』などアニメ……。最近では多数の犬種が登場し、愛犬家にはたまらない『僕のワンダフル・ライフ』が大きな話題をよびました。
しかし、ここではそんな犬が主役の犬映画ではなく、あくまでもわき役として登場しながら、その存在感と演技力でときに人間の主役をくってしまう活躍をみせる作品をあえて選び、犬種別に紹介したいと思います。
犬映画で検索して紹介される作品とは、少し違ったラインアップになるかと思います。
- 犬映画ではなくとも犬が活躍する映画を10種の犬種別に紹介!
- 【1】ジャック・ラッセル・テリア
- ①『アーティスト』(2011)
- ②『人生はビキナーズ』(2011)
- 【2】オーストラリアン・キャトル・ドック
- ③『マッドマックス2』(1981)
- 【3】ブリュッセル・グリフォン
- ④『恋愛小説家』(1997)
- 【4】パグ
- ⑤『キングスマン』(2015)
- ⑥『メン・イン・ブラック』(1997)
- ⑦『メン・イン・ブラック2』(2002)
- 【5】ジャーマン・シェパード
- ⑧『アイ・アム・レジェンド』(2007)
- ⑨『K-9 友情に輝く星』(1989)
- 【6】チワワ
- ⑩『キューティ・ブロンド』(2001)
- ⑪『キューティ・ブロンド/ハッピーMAX』(2003)
- 【7】フレンチ・ブルドッグ
- ⑫『デュー・デート~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~』(2010)
- 【8】ウェルシュ・コーギー
- ⑬『偶然の旅行者』(1989)
- 【9】ブルマスティフ
- ⑭『しあわせな人生の選択』(2015)
- 【10】ピットブル
- ⑮『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)
- ⑯『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017)
- 愛犬家にはたまらない映画ばかり
犬映画ではなくとも犬が活躍する映画を10種の犬種別に紹介!
日本人になじみ深い、人気の犬種のみならず、あまりみかけない珍しい犬種も選んでみました。
簡単な犬種の紹介も添えています。
【1】ジャック・ラッセル・テリア
イギリス原産。1800年代に、キツネ狩りのため交配され、改良されて誕生したテリア犬の一種です。好奇心旺盛で活発、運動能力も高いですが、やや頑固なところもあります。
①『アーティスト』(2011)
サイレントからトーキーへ移行しようとしていた1920年代終わりのハリウッドを舞台に、人気俳優と新人女優の物語をモノクロのサイレントで描いたロマンチック・コメディが『アーティスト』です。アカデミー賞では作品賞や主演男優賞など5部門を独占しました。
フランス人俳優のジャン・デュジャルダン扮する主人公ジョージの愛犬が、ジャック・ラッセル・テリアのジャックです。
有名俳優犬のアギーが演じていますが、本作での活躍とあまりの可愛さに、カンヌ国際映画祭でパルム・ドッグ賞を受賞。米アカデミー賞でもアギーを受賞に押す声が上がりました。
アギーは2015年に死去しましたが、映画『恋人たちのパレード』や『俺たちスーパー・ポリティシャン めざせ下院議員! 』で、その可愛い姿を見ることができます!
②『人生はビキナーズ』(2011)
突然ゲイであることをカミングアウトし、ガンを患いながらも新たな人生をスタートさせる75歳の父。その生きざまをみることで、次第に再生していく38歳の内気な息子の姿を描いた秀作ドラマが『人生はビキナーズ』です。父のハルを名優クリストファー・プラマー、息子オリヴァーをユアン・マクレガーが演じました。
ハルの愛犬で、ハル亡きあとオリヴァーのところにやって来るのが、ジャック・ラッセル・テリアのアーサーです。心の声でオリヴァーと会話するなど、ユーモアあふれる癒しの存在がたまりません。
俳優犬のコスモが演じており、撮影終了後にユアン・マクレガーが熱烈に引き取りを希望した話は有名です。
多数の犬が出演する映画『ホテル・バディーズ ワンちゃん救出大作戦』のフライデー役も必見です。
【2】オーストラリアン・キャトル・ドック
オーストラリア原産の牧牛犬で、牛のかかとを噛んで従わせます。がっちりとした筋肉質な体つきと野性的な風貌を持ち、運動能力はもちろん抜群ですが、非常に頭がよく忠誠心が高いことでも知られています。
③『マッドマックス2』(1981)
荒廃し、ならず者たちですさみきった世紀末のオーストラリアを舞台に、一人の男の孤独な闘いを描いて世界的に大ヒットした一作目の続編です。メル・ギブソンが演じた主人公マックスの唯一の相棒がオーストラリアン・キャトル・ドッグでした。
名前はいかにもマックスらしく「ドッグ」。
精悍な佇まいと勇敢な行動は、まさにマックスの相棒にふさわしい存在感。この映画を観て、オーストラリアン・キャトル・ドッグのことを初めて知り、飼いたいと思った愛犬家も多いそうです。
【3】ブリュッセル・グリフォン
ベルギー原産の小型犬。もとは馬小屋でネズミ退治など行っていた猟犬でしたが、改良が重ねられて、今日のような愛嬌溢れる家庭犬となりました。陽気でお茶目、愛情深い性格が特徴です。
④『恋愛小説家』(1997)
偏屈で潔癖症の中年小説家と、シングルマザーであるウエイトレスのぎこちない恋を描いた、名匠ジェームズ・L・ブルックスの名作が『恋愛小説家』です。
主人公メルヴィンを演じたジャック・ニコルソンとキャロルを演じたヘレン・ハントは、アカデミー主演男優賞と主演女優賞のW受賞に輝きました。
メルヴィンの暮らすアパートに暮らすゲイのサイモンの飼い犬がブリュッセル・グリフォンのヴァーデルです。あるきっかけで、メルヴィンの部屋であずかることになりますが、極度の潔癖症ゆえ大騒動になるのは言うまでもなく……。
珍しい犬種ですが、あまりのブサ可愛さに、問い合わせが殺到したとか。
【4】パグ
一説には紀元前から存在していたとも言われる中国原産の小型犬です。しっかりとした骨格に、皺くちゃ顔の短鼻が特徴。性格は頑固でマイペースですが、愛嬌あふれる容姿で人気があります。
⑤『キングスマン』(2015)
ロンドンにある高級テーラード・スーツの店を隠れ蓑に、世界を股にかけたエリート・スパイ集団の活躍を描いた大ヒット・アクション大作が『キングスマン』です。
コリン・ファース扮する主人公ハリーが、新しくスカウトする不良青年がタロン・エガートン扮するエグジー。スパイ訓練の際、候補者たちにはさまざまな犬が与えられますが、エグジーの選んだ犬がパグのJBでした。
大ヒットドラマ『24 -TWENTY FOUR-』のジャック・バウアーにちなんでJB。
敏腕スパイと愛嬌のあるパグの組み合わせが話題になり、映画のプロモーションでもパグが起用されたほどの人気をよびました。
⑥『メン・イン・ブラック』(1997)
⑦『メン・イン・ブラック2』(2002)
地球に侵入したエイリアンの監視を行う秘密エージェント「MIB」の活躍を描いたSFコメディが『メン・イン・ブラック』です。トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスが、黒ずくめの主人公コンビを演じました。
登場するパグのフランクは、実はパグの外見を持ったエイリアンという設定。続編では見事MIBのメンバー入りを果たし、車の中でなんとグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」を歌って見せるシーンもあります。
【5】ジャーマン・シェパード
ドイツ原産の大型犬。非常に頭がよく、また忠誠心と服従心に富んでいることから、警察犬や救助犬など種々なタイプの作業犬として訓練されることも多い犬です。
⑧『アイ・アム・レジェンド』(2007)
ウイルスの蔓延により人類全体がゾンビ化した世界で、たった一人生き残った科学者ロバートの壮絶なサバイバルを描いたSF大作が『アイ・アム・レジェンド』です。
ウィル・スミス演じる孤独な主人公の唯一の相棒がジャーマン・シェパードのサムでした。かけがえのない家族としてロバートを支え、ひたむきに守る姿、そして悲しい最期は号泣必至です。
情が移ったウィル・スミスは撮影後、演じた俳優犬アビーの引き取りを希望しましたが、飼い主からやんわり断られたそうです。
⑨『K-9 友情に輝く星』(1989)
麻薬密売の黒幕を追う刑事のドゥーリーがコンビを組むことになったのは、麻薬捜査犬のジェリー・リー。ところが、抜群に頭がいいばかりか、なかなか一筋縄ではいかず……。
主人公をジェームズ・ベルーシが演じ、1999年と2002年には、オリジナルビデオの形で続編が発売されるほどの人気をよびました。なんと言っても見どころは、ジェリー・リーを演じたジャーマン・シェパードのコトンが見せた名演技ぶり。しかし、コトンは1991年に死んだため、続編には別の犬が出演しています。
【6】チワワ
メキシコ原産で、公認された世界最小犬種です。見た目の愛らしさはもちろん、陽気で明るい犬ですが、意外に警戒心が強く、家庭での番犬としても役立ちます。
⑩『キューティ・ブロンド』(2001)
⑪『キューティ・ブロンド/ハッピーMAX』(2003)
派手で陽気なおしゃれガールのエルですが、ブロンドを理由に政治家志望の恋人から振られてしまいます。それでもめげることなく、猛勉強して恋人と同じハーバード大学に入学するなど、常に前向きで、ポジティブに奮闘する姿を描いた大ヒットコメディが『キューティ・ブロンド』です。
リース・ウィザースプーン扮するエルが一緒に連れて歩く愛犬がチワワのブルーザー。続編では、ブルーザーの母親探しがきっかけとなって物語が展開するなど、もはや準主役級の扱いです!
ブルーザーを演じた俳優犬のムーニーは、リース・ウィザースプーンの名がハリウッドのウォーク・オブ・フェイムに刻まれた際の除幕式にも出席しました。2016年に18歳で亡くなったときにはリースが追悼文を寄せるほどでした。
【7】フレンチ・ブルドッグ
フランス原産。厳ついずんぐりむっくりした胴体に愛くるしい顔立ち、大きな立ち耳で人気の高い犬種です。かなり甘えん坊なところも、ハマると抜け出せない独特の魅力があります。
⑫『デュー・デート~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~』(2010)
ロサンゼルスにいる妻の出産に立ち会うため、アトランタの空港にやってきたピーター。ところが、見ず知らずの男イーサンのトラブルに巻き込まれて搭乗できず、仕方なく2人でヒッチハイクしながら旅する姿を描いたロード・ムービーが『デュー・デート~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~』です。
ピーターをロバート・ダウニー・Jrが演じた一方、ザック・ガリフィアナキスが演じた変わり者イーサンの愛犬が、フレンチ・ブルドッグのサニーでした。
野郎2人と犬1匹の波乱に満ちた珍道中が見ものです。
【8】ウェルシュ・コーギー
イギリス原産で、牧畜犬として改良された犬種です。がっちりとした長い体長と短い足が特徴ですが、非常に活発で遊び好き。英国のエリザベス女王の愛犬としても有名でした。
⑬『偶然の旅行者』(1989)
一人息子を亡くし、妻からも去られた孤独な旅行ライターのメーコンが出会ったのは、病弱な息子と暮らす少々風変りな女性ミュリエル。一筋縄ではいかない2人の恋愛の行方を描いた秀作です。
個性的なミュリエルを演じたジーナ・デイビスが、見事アカデミー助演女優賞に輝きました。
ミュリエルの仕事はドッグトレーナー。メーコンの噛み癖のある愛犬が、ウェルシュ・コーギーのエドワードであり、そのしつけに雇われたのがミュリエルでした。2人の間で戸惑う、エドワードの名演技に注目です。
【9】ブルマスティフ
イングランド原産で、オールド・イングリッシュ・ブルドッグとイングリッシュ・マスティフの交配犬。農場などの番犬として活躍していましたが、現在は家庭犬として欧米を中心に人気があります。
⑭『しあわせな人生の選択』(2015)
スペイン・アルゼンチン合作映画で、スペインのゴヤ賞では作品賞・主演男優賞・助演男優賞など最多5部門を独占した秀作人間ドラマが『しあわせな人生の選択』です。
死の近づいた一人の男フリアンが、親友トマスと過ごす4日間を描きます。作品の原題「トルーマン」はフリアンの愛犬の名前。トルーマンの引き取り手を探す行動が、物語の軸になっているのです。
俳優犬のトロイロは撮影直後に亡くなり、フリアンを演じたリカルド・ダリンは涙にくれたそうです。
【10】ピットブル
正式名称はアメリカン・ピットブル・テリアで、アメリカ原産の闘犬です。運動能力が高く筋肉質の大型犬。訓練次第で、攻撃的にも、飼い主に忠誠で服従的にもなる犬種で、素人には難しいと言われています。
⑮『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットという2大スターの競演が話題となったクエンティン・タランティーノ監督作が『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』です。
落ち目の俳優とスタントマンの友情を軸に、1969年のハリウッドの光と現実を独特のユーモアを交えて描きました。
ブラッド・ピット扮するスタントマンの愛犬が、ピットブルのブランディ。エサやりシーンの可愛さがたまりませんが、カンヌ映画祭で見事パルム・ドッグ賞に輝きました。
⑯『ジョン・ウィック:チャプター2』(2017)
亡き妻から贈られたの子犬(ビーグル)を殺した男たちに復讐する姿を描いた2014年公開の『ジョン・ウィック』。ラストシーンで主人公が連れ帰り、その後、2017年に公開されたシリーズ2作目『ジョン・ウィック:チャプター2』で活躍する相棒犬が、名前の与えられていないピットブルです。
ちなみにシリーズ3作目『ジョン・ウィック:パラベラム』では、ハル・ベリー演じるソフィアの愛犬シェパード2匹も活躍します。
愛犬家にはたまらない映画ばかり
以上、10種の犬種、合計16作品の映画をご紹介しました。
いわゆる犬映画ではありませんが、愛犬家にはたまらない作品ばかりですので、ぜひ鑑賞してみてください!
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